開催レポート:【チガラボSocial】もしも建築学生がコワーキングを研究したら -建築学生からみたコワーキング-
(投稿日:2020.4.9)

みなさんこんにちは。スタッフのあさなです。
3月15日(日)に、「【チガラボSocial】もしも建築学生がコワーキングを研究したら-建築学生からみたコワーキング-」が開催されました。

タイトルにある建築学生さんは名城大学の佐藤宏さんで、大学院卒業研究の成果共有をしていただきました。去年の6月にチガラボにコワーキングスペースについてのアンケートが届き、単に回答するだけではなくチガラボらしく相互にとって良い関係を築きたいと思いイベントが実現しました。佐藤さんは名古屋からはるばるお越しくださいました!

 佐藤さん

■佐藤さんの発表
昨今、働き方改革によりコワーキングスペースの需要は高まってきました。ですがまだまだどんな施設、運営をしたらよいのかわからない人は多いのではないでしょうか。佐藤さんの研究は、今後コワーキングスペースの運営や施設計画をしている方にとっての資料としても活用されることを目的としています。

その「コワーキング」は、コミュニティ形成についての研究が多いようですが、佐藤さんの研究は個人の席の利用状況やその理由にアプローチしていました。

 

●調査方法
全国のコワーキングスペースに向けてアンケートを実施し、結果を分類分析したのち大規模-複合-都市型のコワーキングスペースから3か所の施設へ実際に行って利用者の方の行動を観察、インタビューしたというものです。また、運営者の方にも話を聞いたそうです。

 

●全体の傾向について
まずアンケートの結果から全体のコワーキングスペースの傾向としては、

建物の一部をリノベーション、オフィスのコンバージョン、空きテナントの有効利用などにより増加しており、働く場所や作業をする場所という以上に、人々の交流場所として開設されています。しかし採算はとれておらず、運営者は策として席タイプを増やすよりも、会議室やシェアオフィスなどを併設する傾向にある、ということがわかりました。

 

●利用者の行動、運営者の思いをキースライドにまとめました。
抜粋された3か所のコワーキングスペースについてですが、座席レイアウトがそれぞれ違い、それによって利用者の用途が違ったようです。

利用者に行ったヒアリングからも、集中して作業できる場所、カフェのような場所を作業場所として好む人がいるなど、利用者は自分の目的にあったコワーキングスペースを見つけていっていることがわかりました。

運営者は交流スペース以外に会議室を併設するなどして利用者のニーズにもこたえているようです。

 キースライド

 座席タイプの例

●まとめ
コワーキングスペースの運営は当初交流させたいという目的で開設されたとしても、利用者のニーズにあわせてスクール型を採用したり、仕切りをつかって交流できるスペースを合わせ持ったりすることや、利用者が自然とフロアをエリアで使い分けていくなど、利用者と運営者が一緒になって場をつくりあげていくものであるということがわかりました。

お互いにとって心地よい距離で交流できるレイアウトや運営が重要だということです。

 (質問タイムからどんどん深い語り合いに・・・)

佐藤さんは本当に多くの分析を細かくされていて、このレポートですべてお見せできないのが非常に残念です!建築の話で途中少し難しいかも!?と思いましたが、参加者のみなさんの関心は高く、発表のあとは質問タイムをとりつつ、どんどん深い語り合いになっていきました!

 

今回の研究の対象は大規模-複合-都市型コワーキングだったので、必ずしもチガラボが同じ状況とは限りませんが、立地や規模が違っても共通して大事なこと、違うことがそれぞれ見えてきたように思いました。

 

特に発表内では、ただレイアウトでコワーキングの利用特性をいかした運営ができるわけではなく、運営者がそこでファシリテーターの役割をはたし、周りに交流を促せるかどうかもポイントとなってくるとあり、建築視点の研究からソフトの面まで見ることができていてさすがだなと感じました。改めてチガラボの運営を考えるきっかけにもなりました。

 (ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!いい笑顔!)

参加者のみなさまは愛知つながりだったり、建築関連の経験がある方、コミュニティデザインに興味があったり、空間づくりを目指している方などさまざまでしたが、共通して働き方や地域交流に興味をお持ちのようで、成果共有あとの交流会も話がとてもはずんでいました。今回は建築という視点でコアな内容だったのでどんな会になるかわくわくしていましたが、佐藤さん自身、建築以外の方からたくさん意見をもらえたことについて満足していらっしゃる様子で、その場にいた全員にとってとても良い機会になったのではないかと思います。

 

実は佐藤さんからのアンケートを受け取ってイベントの企画を任せられたのはわたしがチガラボに入ったばかりだったときのことで、無事に開催でき感慨深いです。

これからもチガラボはみなさまと一緒につくりあげていきますので、どうぞよろしくお願いいたします!