2019.07.22【チガラボSocial】企業人のためのSDGs時代の協働を考える~地域の人たちと一緒に問題解決に取り組むには?~
(投稿日:2019.8.4)

こんにちは、社会人インターンの京香です。

SDGs(エスディージーズ=持続可能な開発目標)とは、国連で採択された2030年までの国際目標のこと。掲げられた17の目標のうち17番目にあたる”パートナシップ”≒”協働”をテーマに、企業(人)が地域の人たちと問題解決するにはどうしたらよいのか一緒に考えていこうと開催されました。講師は、株式会社エンパブリックの広石拓司さん。今回も和やかな笑顔で具体的な例を出しながら、問題のとらえ方の変化や解決に向けた循環的な動き、協働が秘めているパワーについて語っていただきました。マクロ(世界)からミクロ(足元の生活)まで、新しい価値観の到来によって楽しく生きるヒントが見えてくるかもしれません。

 

SDGsとは?: 外務省

https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html

【今は世界の変わり目】

掲げられた17の目標は、決して新しいものはない、前から活動していた人(団体)はいまさら?と疑問に思うかもしれません。ではなぜ今なのか・・・。持ったなしで世界が本気になり、社会システムを一斉に変えていかないと世界レベルで目指すゴールにたどり着かないからです。バラバラに動いていては実現できない、21世紀型の持続可能な社会システムを再構築するために打ち出されました。例えば、先進国は途上国を支援しています。しかし、先進国が途上国に学ぶこともあり、先進国のために途上国の環境を悪化させている経済システムもあります。世界全体が笑顔になるには、価値観を変えライフスタイルやビジネススタイルを変えていく必要もあるのです。

 

【問題解決の発想を超える】

問題が明確であれば、適切にアプローチができ解決しやすくなります。しかし、現代の問題は、多様な要素が絡み合い複雑化しており問題そのものが見えづらくなっています。経済的・社会的・環境的な側面のバランスも大切。例えば、待機児童の問題。横浜市は一時期待機児童が”0”になりましたが現状”0”をキープできていません。子どもを預けられないとあきらめていた人が、待機児童ゼロ聞いて、一斉に集まってしまったことで、結果的に新たに待機児童が増える結果となりました。時間的に遅れて発生する影響は予測がより難しくなります。その他、保育の質の問題や預けられなかった人の収入の問題…問題は絡み合い、何をもって解決となるのか分かりにくいのです。

【価値観(メンタルモデル)を問い直す】

問題は突然現れるわけではありません。顔を出すまでのプロセス・・・小さく繰り返し起きていること、発見や対応が遅れる理由、どうしようもないと軽視したり見逃している理由は何なのか、奥にあるものを考える必要があります。小さな芽から何が起きているのか考えることで、表出する問題に対して備えることができます。そして、多面的に状況を理解したり、複雑な問題に向き合っていくには一人では無理。だから、協働なんです。出来ないことを認め、他人が入り込む余地があるくらいがちょうどよく、仲間を増やすことでゴールを目指します。その道のりは直線的ではなく、らせん的に循環していきます。小さな成果を確認しながら半歩、一歩と進んでいきます。

 

【協働:意見の違いを認め合い、学び合う】

意見が違うと敵と思うのではなく、思いつかなかったことを考えるなぁ、学ぶことがあるなぁと捉えることで学び合う循環のエンジンになります。対立は相互理解のチャンス。そこを中立的に調整するチェンジ・エージェント機能が重要ですが、これがなかなか難しい。実際に、一緒に活動しながら1年かかって「広石さんはこれをやりたかったんですね」とやっと理解してもらえたこともありました。循環的に半歩、一歩ですね。

 

【参加者の気づきや質問】

・自分の仕事で得たスキルを地元で再現し生かすことで価値が出ると思っていたので、それは旧来の考えかたなのだと気づいた。

問題を固定化してみるロジカルシンキングには、遅れて出てくる心理的な影響が含まれていない。循環的な思考が必要。

 

・協働するときに感情的になって話にならないケースがある。

合意形成(一部OK)と説得(全部どちらかの意見)は違う。双方がOKなのは何なのか確認して進めていく。可能であれば初期にメンバーの関わるスタンスを知り合えるとよい。

 

・意見交換のつもりが、対立と捉えられてしまう。

目的とゴールくらいが一緒でちょうどよい。違いを認め、活動しながら合意形成していく。ワークショップで互いの違いを受け入れやすい空気を醸成していくのは一つの手。

 

・行政のいう協働と意味が違うと感じた。

行政は、自分たちが解決してほしい問題を一緒に取り組んでくれる相手を協働と捉えがちなので、少し意味が変わる。

 

・協働について:行政の判断基準は平等なので、中立な立ち位置として機能するが、限界がある。

人は自分の話を聴いてくれる人の話をきく。自分(団体)の活動を分かってほしいと前のめりになっている場合は、話を聴く時間を取ることで、逆にこちらの話を聞き入れる容量が空く。

 

・活動を始めたときの気持ちが変化していく。協働を持続させる秘訣はなんなのか。

素が出てきたということは、関係性が出来てきたともいえる。小さな成果を認識し、目の前の達成感を感じる。確かに進んでいるんだと実感できることが大事。人は成長できるグループにいたいと思う。

 

【振り返って…】

話が一転しますが…。私は車を運転します。しかし、近場専門で滅多に使いません。なぜなら未知の場所は行く先に何があるかわからないし、回避するスキルに自信がないからです。

夏休み前、日帰りでどこか行こうと箱根彫刻の森美術館に行くことになりました。電車を推しましたが、所要時間と交通費を天秤にかけて、出かける朝に車でチャレンジすることに…。となりにナビがいるからと意気込んだものの、案の定、高速の出口を間違い、挙句の果てには霧のクネクネ道を前に進むしかない状態になりました。あーだこーだ言いながら、泣きたくなる気持ちを音楽で奮い立たせ、予定時間を大幅に遅れて目的地に到着!達成感は半端ありません!!!

不安も共有しグルグルしてでもゴールを目指す。おそらく、1人なら箱根に行こうとも、車に乗ろうとも思いませんでした。ましてや、霧で前が見えないなんて分かっていたら、確実に電車を選んでました。だけど、この経験は私に車で出かける勇気をくれました。

あの時の気持ちのアップダウンを、今回のワークショップに重ねて…。問題解決に向けた協働は特別なことではなく、見ようとすれば小さな成果も見えてきます。ゆっくりでもグルグルを楽しんでいけば、何か予想もしない産物をうみだしそうではないですか?

 

最後になりましたが、ご参加いただいた皆様、広石さんありがとうございました。