開催レポート:【かまラボPrj】創業140年の「井上蒲鉾店」に聞く、ディープな”かまぼこ”の世界
(投稿日:2019.1.29)

はじめまして。社会人インターンの加茂ゆかりです。126日(土)に『創業140年の「井上蒲鉾店」に聞く、ディープな“かまぼこ”の世界』が開催されました。

日本の伝統的な食文化である、練り物。代表的な「かまぼこ」や「はんぺん」は、地の魚を使った食べ物として古くから食べられてきました。湘南・大磯にある、創業140年の「井上蒲鉾店」5代目・井上寧さんは、歴史ある練り物文化を継承するだけでなく、新しいチャレンジを構想されており、チガラボ代表・清水とのご縁から、“トーク&体験&食べる”という今回の「かまラボ・プロジェクト」が実現しました。

まずは、5代目井上寧さんの軽快なトークから始まった「かまラボ」ですが、聞けば聞くほど、添加物を一切使わない、魚と塩のみのかまぼこ作りが、いかに難しいか、いかに繊細で微妙な世界か。参加者からはため息が聞こえてきました。

そして、かまぼこの「足」(弾力)の話になると、ほとんど化学の世界。まさか、かまぼこがこんなに奥の深いものだとは、ふだんスーパーのはんぺんを食べている私達はもとより、井上蒲鉾店の常連さんさえも、初めて知ったようでした。

ひとしきり5代目のお話を聞いた後は、今は引退されている4代目井上浩吉さんの実演です。

浩吉さんの手にかかると、とても簡単そうに見える“練り”ですが、いざ参加者が体験してみると、魚のすり身と塩のみの生地は、全く言うことをきかない、まさに“暴れん方”。皆さん、すり身だらけになりながら、白いやんちゃ坊主と格闘し、はんぺん一枚作るのにも「もう手が限界!」と言う女性もいるほど大変な作業でした。現役時代は、これを一日に3万枚作っていたという浩吉さん。その浩吉さんの厳しくも優しい指導を受けながら、皆さん徐々にはんぺん作りも上達し、汗をかきながらも笑いが絶えないひとときでした。

そして、いよいよお待ちかねの試食タイムです。

創業以来変わらない、井上蒲鉾店のかまぼことはんぺん、蒲鉾店オススメの日本酒がふるまわれます。

中でも井上蒲鉾店のはんぺんは、普段食べ慣れている、スーパーのフワフワしたはんぺんとは別物!初めて口にした参加者からは、「これがはんぺんだったのか」「今まで食べていたモノはなんだったのか?」という声が聞こえてきました。

その後その場で蒸し上げてくれた、参加者自ら練り上げたはんぺんの美味しいこと!汗をかいた後の爽やかな達成感もあいまり、井上さんの用意してくれたお酒も進むようで、「第2回はいつ?」という声も早々に上がっていました。

今回初めてかまぼこのディープな世界を垣間見せて頂き、私達の周りに当たり前のようにあるかまぼこやはんぺんは、本来どれほどの手間をかけて作られたものだったのか、また、それを代々受け継ぐ練り物職人の技がどんなに素晴らしいものだったのか、教えて頂きました。

もしも今回参加しなかったら、蒲鉾専門店に並ぶ練り物を見て「高い!」と思ったと思います。でも、その何気ないはんぺんに、どれほど熟練の技がほどこされているか知ってしまった今は、一枚のはんぺんに敬意すら感じてしまいます。

最後に、素晴らしい熟練の技を見せてくださった浩吉さん、いつまでも長生きをして、私達に、これからの子供達に、日本の伝統の技を、かまぼこのディープな世界を見せてくださいね!