開催レポート:マイプロ・フェス湘南①Meetup編 ~地域のプロジェクトとつながる会~
(投稿日:2018.11.10)
地域の”たくらみごと”大集合!
10月21日(日)、「マイプロ・フェス湘南①Meetup編 ~地域のプロジェクトとつながる会~」を開催しました。
マイプロジェクトとは、日々の暮らしの中で見つけた課題や自分の興味関心に対して、「こうなったらいいな」「こんなことができるかも」と、自分なりに取り組む活動のこと。チガラボでも、毎月のチガラボチャレンジ(やりたいこと宣言の会)などを通じて、プロジェクトが生まれ、進んでいくことを応援しています。
今回初開催となった「マイプロ・フェス湘南」は、そんな地域のマイプロジェクトが大集合し、意見交換や交流をすることで、プロジェクト成功のためのアイデアを得たり、プロジェクトに取り組む人・応援したい人・地域と関わりたい人がつながる場を目指したものです。第一回の「Meetup編」として、全15組のプロジェクトオーナーと、20名ほどの参加者の方にご参加いただきました。
ゲストにお招きしたのは、博報堂にお勤めで「SDGs(持続可能な開発目標)」の普及に取り組まれている川延昌弘さんと、株式会社エンパブリック代表取締役で『ソーシャルプロジェクトを成功に導く12ステップ』著者の広石拓司さんのお二人。午前の部では、お二人のマイストーリー(今のお仕事・ご活動に至った経緯など)をお話しいただき、マイプロジェクトを持つことの意味や、取り組む上で大切なことをお聞きしました。午後の部では、全16組のプロジェクトオーナーがプロジェクトの展示と発表を行い、川延さんにはSDGsの視点から、広石さんには起業支援のご経験から、各プロジェクトへのアドバイスと激励のお言葉をいただきました。
川延昌弘さんのマイストーリーとアドバイス
川延さんの人生の転機は、阪神淡路大震災で被害にあったことでした。その時に「自分は生かされたんだ」という思いを持ったことから、「言い訳をしない人生」がモットーに。写真家としての活動やテレビ番組の立ち上げなどを通じて、人の思いや移りゆく風景を伝えるさまざまな作品の制作に携わっていきます。
その後、「フォレストサポーターズ(美しい森林づくり推進国民運動)」への参画や、国連の「COP10(第10回生物多様性条約締約国会議)」への出席を経て、生物多様性の教育や推進を行う『一般社団法人CEPAジャパン』を立ち上げます。現在は、2015年に国連で採択された「SDGs(持続可能な開発目標)」の普及・推進に注力し、神奈川県の非常勤顧問としても活躍されています。
川延さんはご自身の役割を「社会背景・潮流をつくること」だと語ります。そのためには、さまざまな物事を俯瞰し、エッセンスを拾い上げてストーリーとして編集していく力や、影響力のある営利組織で非営利的に働き、稼いでいくことが大切とのことでした。
<川延さんからのアドバイス>
・「何事もやろうと思えばできます。一人だからできない、経験がないからできない、非営利だからできないと、私は言いたくありませんでした。」
・「思いを持って行動すること、体現すること、結果を出すことが大事です。」
・「マイプロジェクトを進めるには、動機と目的が大事。プロジェクトの目的が定まってない場合ははっきりさせましょう。」
広石拓司さんマイストーリーとアドバイス
東京大学薬学部でガンの免疫を研究されていた広石さんは、シンクタンクで病院経営のコンサルタントとして勤務。その後、「個人の活動を支援したい」という思いから『NPO法人ETIC.』にて社会起業家の育成や書籍『好きなまちで仕事を創る』の編集に携わります。現在は『株式会社エンパブリック』の代表取締役として、「思いのある誰もが動き出せるため」の場づくりやプログラムの開発・提供をされています。
大切にしているのは、「社会は動くところから動いていく」という考え方。社会の変化は、大きなものが変わるから動くのではなく、まず小さく動き出す人が動くから変わるのだそうです。しかしその一方で、その動きがメインストリームにならないと大きく社会は変わらないため、「SDGs(持続可能な開発目標)」のような誰もが共有できる指標やテーマが掲げられたことはとても良いことだと広石さんは語ります。
<広石さんからのアドバイス>
・「スキルや能力を持っていても動き出せない人が多い中で、『自分もやっていいんだ』と思ってもらうためには、みんなに関わってもらう余地をつくったり、いっしょに体験してもらうことが必要です。また、自分だけで動いていてもプロジェクトは前に進まないので、人に支えてもらえる『受援力』や、謝罪よりも『おかげさま』を伝えることが大切です。そのためには、例えばホームパーティーやバーベキューを開催して、世代も分野も違う人たちが集まる場をつくってみることが、良い経験になります。」
・「自分の「好き」が分からなくならないように、主語を『 I(わたし)』にしましょう。一人ひとりが自分のストーリーを見つけることが大切です。」
・「『誰もやってないからやる』、『やってみないと分からないからやる』でいいのです。」
出展プロジェクト
午後の部では、個性あふれるプロジェクトオーナーのみなさんによる展示&ミニプレゼンが行われ、地域のプロジェクトが大集合。それぞれの原体験が語られたり、興味のある人同士で新たなプロジェクトのアイデアが生まれたり、熱気あふれる時間となりました。
・「音楽のまち Chigasaki」構想(石田ひできさん)
茅ヶ崎市を持続可能なまちにするために、「音楽」を地域の基幹産業にしていくプロジェクト。「音楽」を通じて教育や健康を充実させたり、生き方や働き方を考えるなど、まちの事業と文化をつくっていきます。
・Local Scale Design(小林千晶さん)
都市開発や色彩設計の観点から、地域の色とデザインを考えるプロジェクト。茅ヶ崎市のまちの色を集める「集色活動」を開催したり、チラシづくりのワークショップを行なっています。
・まちのキャリアラボ(中村容さん・木村宏美さん)
人生100年時代のキャリアをデザインするプロジェクト。「Career Bar」や「Careerスナック」の開催を通じて、暮らし方や働き方について対話を積み重ね、自分らしいキャリアを探索・実践していきます。
・湘南の里山を楽しむ会(高橋浩美さん)
茅ヶ崎の北側に広がる美しい里山の風景を未来に残していくプロジェクト。「里山バーベキュー」や「里山あるき」、「ぶどうづくり」など、里山の資源を生かしたイベントを行いながら、茅ヶ崎の北側に興味を持つ人を増やしています。
・EdiblePark茅ヶ崎(石井光さん)
茅ヶ崎市赤羽根にある、”食”と”農”のコミュニティ菜園。野菜を育てながら、「チキントラクターづくり」や「竪穴式住居づくり」などのワークショップも開催し、食や暮らしを自分たちでつくっています。
・湘南100CLUB(山口順平さん)
人生100年時代におけるシニアのロールモデルと活躍の場づくりを行うプロジェクト。「まちのレジェンド探索隊」の活動を通じて、自分らしくゆたかに生きているシニアの方を取材・発掘し、イベントを開催したり、協働プロジェクトを進めていきます。
・JOMON(加藤紘二郎さん)
お金だけでは測れない「助け合い」で新しい経済をつくるプロジェクト。現在は、大磯と茅ヶ崎でそれぞれコミュニティをつくり、「助け合い」が発生するごとに独自通貨「DOKI」を送り合う実験中。
・自分だけのガイドマップーチリも積もれば地図になるー(伊藤渚生さん)
「かかる時間で距離を表す地図」や「昔使われていた地図」など、さまざまな地図を参考にしながら、自分だけの地図を作るプロジェクト。まちあるきを行い、見えた風景やお気に入りの場所をそれぞれが地図に落とし込んでいくワークショップを11月に開催予定。
・地方を高校生の学びのフィールドに〜アクティブラーニング×地方創生〜(玉田勝司さん)
高校生の修学旅行をソーシャルラーニングの機会とし、自分の興味や進路について、多様な人に触れながら考える場をつくるプロジェクト。2018年春に宮城県釜石市でワークキャンプを開催されました。
・Sorganic 〜オーガニック食品を届ける〜(阪田宗二郎さん)
オーガニック食品を日本の食卓に届けるプロジェクト。有機農家と消費者をつなげたり、「有機JAS」認証などのオーガニックに関する情報をWebメディアで発信することをはじめています。
・ODAWARA WOMEN PLUS(宇田川路代)
小田原の女性の起業を応援するプロジェクト。交流会やワークショップ開催を通じて、学び合う女性のコミュニティ運営をスタートしています。
・「ゴルフ免許証」開発プロジェクト(長野豪洋)
ゴルフをもっと気軽に楽しむためのプロジェクト。「ゴルフ免許証」を発行し、ゴルフに興味がある人同士がつながるスマホアプリを開発するため、現在クラウドファンディングに挑戦中。
・砂山とんぼ(久保田恵子さん・郡恵美さん)
茅ヶ崎市柳島から藤沢市江の島までつながる海岸のサイクリングロードをみんなで綺麗にするプロジェクト。道に溜まった砂を掃くためのトンボを自作して道に設置したり、Facebookグループを活用して砂の情報を共有したりしています。
・湘南映画・映像制作コミュニティ スタジオMalua(安田ちひろさん)
商業性よりも作家性に重きを置いた映画をつくるためのコミュニティを、湘南に立ち上げるプロジェクト。これまでにイベント「映像・映像制作を学ぼう」を6回開催し、今後は拠点づくりや映画祭開催を予定しています。
・AONOWA ~海でつながる福祉の輪~(坂田浩明さん・坂田いつかさん)
福祉施設に入所されている方々と地域の方々が、サーフィンを通じて垣根を越えてつながるプロジェクト。これまでにサーフィン体験会や運動会を計3回開催し、今後は海のゴミ問題にも取り組みます。
・クラフトビール専門移動型パブ(今関恭平さん)
全国のおいしいクラフトビールを、移動型で販売するプロジェクト。まずはクラフトビールの知識をつけることから始めます。
終わりに
東京からほどよい距離感にある湘南地域は、仕事と暮らしを両立させながら、自分の興味関心に合ったプロジェクトに実験的に取り組みやすい地域です。
まずは小さくやってみて、興味のある人・応援してくれる人とつながったり、川延さんや広石さんのような深い知見を持った方の視点からプロジェクトを振り返ることが大切なのではないでしょうか。
今回チガラボにお集まりいただいたみなさんをはじめ、地域には面白いテーマや人がたくさん存在しています。多様なプロジェクトが生まれ、誰もが小さなプロジェクトに取り組む豊かな地域を目指して、これからもみなさんの挑戦を応援していきたいと思います。
また、10月より、湘南地域のプロジェクトをリアルタイムで追いかけ、ヒトとコトがつながるWebメディア「TAKURAMI」を、有志のチームで立ち上げました。チガラボをはじめ、地域のプロジェクトがあつまる場が連携をして運営をしていければと思っています。ぜひご覧いただき、地域のプロジェクトを探してみてください!
https://takurami.org/
以上、振り返りレポートでした!
*今回展示したマイプロ・ボードの製作は、カラープランナーの小林千晶さんにプロデュースしていただきました。小林さん、ありがとうございました。ボードは今後もチガラボに掲示していますので、お越しの際はぜひご覧ください!