開催レポート:宮城県石巻市の桃浦現地訪問ツアー
(投稿日:2023.6.29)

開催レポート:宮城県石巻市の桃浦現地訪問ツアー

 

こんにちは、チガラボスタッフのジミーこと大西裕太です。

6/17(土)-6/18(日)にかけて、宮城県石巻市の桃浦現地訪問ツアーに行ってきました。

 

今回の現地ツアーは、4/28(金)のイベント「【 チガラボ×Local 】桃浦の魚介とジビエを食べながら、移住漁師さんと浜の未来を考える会」をきっかけに、お話してくださった移住漁師である土橋剛伸(どばし たけのぶ)さんの浜の暮らしを訪ねようと企画されたものです。

↓イベントの詳細はこちらからご覧ください。

https://fb.me/e/2s9Q4lud0

 

「もものうらビレッジ」とは:

山と海に囲まれた牡鹿半島の桃浦という集落にある「人が自然に出会い、人が人に出会う場、「生きる術」を学び、楽しむ場」をコンセプトに、土橋さんが管理人を務める研修・宿泊施設。

人が本来持っている力やかつて人々が実践してきた暮らしの知恵を学び実践するプログラムも体験できます。

 

イベント後の募集10名に対して参加表明された11名(すぐ満員に!)と「東京桃浦会」の皆さんと一緒に漁師体験や浜の暮らしを体感してきました。

 

「東京桃浦会」とは:

土橋さんが桃浦に移住するきっかけとなった牡鹿漁師学校への参加をきっかけに生まれた任意団体。ふだんは東京、神奈川、名古屋などに住むメンバーが、石巻や桃浦を盛り上げる活動を展開している。

 

石巻市桃浦地区について:

宮城県石巻市は、世界三大漁場金華山沖を漁場にもつ日本有数の水揚げ高を誇る漁業のまち。桃浦地区のある牡鹿半島は、漁業を専業とする人が人口のほとんどを占める漁村集落地域です。牡蠣養殖をはじめ、アナゴやシャコエビ、ナマコの漁が盛んで、網をかけると一年を通じてアイナメやドンコ、カレイなどの魚がかかる豊かな漁場を抱えています。

 

牡鹿半島は、リアス式海岸特有の入り組んだ小さな浜が多数ある地形で、海と山がとても近い。住宅も海と山の間にあるため、海から聞こえる波の音や山から聞こえる鹿の声の両方を肌で感じることができ、おなじ海に接した地域でも湘南とはまったく異なるものでした。

 

<1日目:かご漁&刺し網漁の仕掛け設置&薪割り体験、BBQ&キャンプファイヤー>

初日は「もものうらビレッジ」に現地集合、軽く皆さんで自己紹介した後は、漁体験チームと薪割り体験チームの2チームに分かれて、それぞれ体験を行いました。

 

かご漁&刺し網漁体験:

土橋さんの船に乗り込み、刺し網とかごの仕掛けを設置しにいざ海へ。

 

晴天でしたが、前日に雨が降ったことで足に力を入れないと立つのが難しいくらい波が出ていました。

船で15分ほど沖合に出た後は、まずはかご漁のかごを仕掛けていきます。

かご漁の狙いは、アナゴ、シャコ、カニ。今回の体験では、皆さんとかご10個を順番に海に落としていく体験をしました。

土橋さん曰く、多いときは60個ものかごを海に沈めていくそうです。

かごの中にエサとなる傷もので市場に出せないイワシを冷凍したものを内部に入れて、ロープを海に下ろしていきながら、順番にかごを落としていきました。

 

かごの設置が終わると、次は場所を移動して刺し網を設置していきます。

刺し網漁の狙いは、メバルやアイナメといった魚たち。今回は3箇所に設置しました。

 

土橋さんにかごや網を設置する場所について伺ったところ、どこに設置するとどのような魚がどのくらい捕れるのかを試していき、漁場を覚えていくそうです。漁の面白さについて、攻略本を作っていくような感覚とおっしゃっていたのがとても印象的でした。

 

薪割り体験:

夜のバーベキューでいただくピザ釜とキャンプファイヤーで使用する薪を用意していきます。間伐材を斧で割っていく体験です。

 

真っ直ぐに斧を振り下ろすだけではなく、ある程度の勢いがないと薪は割れてくれません。簡単そうに見えますが、やってみるととても難しい。。

 

BBQ&キャンプファイヤー:

BBQの準備から皆さんで行いました。

アナゴを捌いたり、ピザ釜でピザを焼いたり、鹿肉を焼いたりと一つ一つが普段は体験できないことが多く、皆さんの表情も笑顔がありつつもどこか真剣な表情でした。

 

初日は漁の仕掛けの体験や薪割り体験と、おいしい食事を食べながら皆さんとの親睦を深める時間になりました。

鳥の囀りや波の音、川のせせらぎを聴きながら自然の中でいただく食事は、聴覚だけでなく、人間の五感すべてを研ぎ澄ませていくようで、都会でいただく食事とは何かが違うという感覚になりました。

自然と皆さんとのお話も盛り上がりましたし、キャンプファイヤーのリアルな炎のゆらめきは話を深めることを促していたようにも感じます。

 

翌日は朝が早いにもかかわらず、皆さん遅くまで語り合っていました。

 

<2日目:仕掛けの引き揚げ、「はまぐり堂」訪問、かき&魚捌き体験>

2日目は、朝早くから昨日仕掛けたかご漁や刺し網漁の仕掛けを引き揚げにいきました。

 

かごと刺し網の引き揚げ体験:

 

漁体験の最中、土橋さんはせっかくかごの中に入っているアナゴも、サイズが小さいと海にぽいっと返してしまいます。ついついもったいないと思ってしまうのですが、土橋さんはまた大きくなってからで良いんだとおっしゃっていたのが印象的でした。

 

「浜の暮らしのはまぐり堂」の亀山ご夫妻を訪問:

漁体験が終わった後は「浜の暮らしのはまぐり堂」の亀山ご夫妻を訪問し、立ち上げからこれまでの経緯、これからについてお話を伺いました。

 

「浜の暮らしのはまぐり堂」とは:

宮城県石巻市・牡鹿半島の入り口に位置する蛤浜(はまぐりはま)で生まれ育った亀山貴一さんが、2013年3月に東日本大震災の瓦礫の撤去からDIYで築100年の自宅を改装し、理子さんとご夫婦で運営している。魚介やジビエなどの地元にある食材を活かしたメニューを完全予約制・時間交代制のランチ営業のみで提供している。

 

コロナ禍になる以前は、完全予約制ではなく1日に100人ほどの人が訪れる人気店だったと言います。さまざまな人が関わってくれるようになり、セレクトショップの運営など活動の幅を広げていったそうです。

しかし、一方で小さな集落にたくさんの人が押し寄せた結果、急激な変化で地元で暮らしている方々に迷惑をかけてしまったこともあったとのこと。

亀山さんご自身も、いらした方とゆっくりとお話をしたり、浜の時間を味わってほしいにもかかわらず、カフェの忙しさで届けたいことを届けられていないことに違和感を覚えたそうです。

 

コロナ禍のタイミングで完全予約制に切り替え、お客様を増やすのではなく、地元の皆さんにとっても喜んでもらえる関係性を育める運営体制に切り替えていったそうです。

 

現在は、地域に昔から伝わる知恵や文化の価値を掘り起こし、都市で暮らす人々にも魅力を伝える冊子を作成も行い、新たに宿泊施設も始められたということでした。

 

亀山ご夫妻との対話の時間は、ツアーに参加した皆さんが昨日からのさまざまな会話や体験で感じていたことをアウトプットする時間にもなり、ツアーを通してそれぞれが自分ごとに深める時間にもなりました。亀山さんは近くチガラボイベントにゲストで来られる予定だとか!

↑亀山さんゲストの開催が決まりました!!7月23日(日)10:00〜13:00「【チガラボ×Local】三陸の小さな蛤浜から考える、これからの地域と社会の新しいものさし(仮)」です。どうぞお楽しみに!!

 

「もものうらビレッジ」に戻った後は、漁で取れた魚たちを調理して昼食をいただきました。

 

<参加者の感想>

今回、ご一緒した皆さまの感想です。想い溢れる感想をいただきました。

 

・チガラボでのイベントにて、土橋さんから桃浦の自然豊かなこと、震災後の様子を伺っておりましたが、実際に訪れ触れることで現地の方の目線に近づいて物事をみられたように思います。

そして、漁業体験を通して「捕って・作って・頂く」という一連の流れから、自然の恵みのなかに人の生活があることを肌で実感しました。

かごや刺し網を引き上げたこと、泥のついた牡蠣を洗い、開いて身を取り出したこと。その他にほやや穴子、魚の捌き方を教わり、夕食や昼食を皆で協力して作ったことが楽しかったです。

桃浦ビレッジは真っ直ぐそびえ立つ杉の木、海の見晴らしが素晴らしく、すぐ横を流れる川の音と鳥のさえずりの相乗効果で素敵な非日常を過ごせました。

また、夜には茅ヶ崎では見ることのできない無数の星と、キャンプファイアの炎、杉の山のなかにぽつぽつと見える灯りと、幻想的な世界を見られたことも印象的です。

土橋さんをはじめ皆さんのおもてなしに感謝しております。素敵な二日間をありがとうございました。

 

・桃浦最高!!!やりたくても、なかなかできない漁師体験。豊かな自然から育まれる海の幸。全部美味しかったけど、特に牡蠣とアナゴが絶品!!さらに、ビレッジの方から食材のおいしい食べ方や作り方を教わり、仲間と一緒にガヤガヤとお料理する時間もまた、幸福感を倍増させました。子ども達も初めて見るもの、優しい大人に囲まれ、非常にのびのびイキイキと過ごさせて頂きました。1週間くらい滞在したかったなぁ~。毎日の生活に疲れを感じている人(大人も子供も)に非常にお勧めしたい場所です。

 

・一泊二日が三泊したかのような内容の濃い体験でした。まず、最初にもものうらビレッジに着いて後ろを振り向いた時、海の景色があまりに美しくて声が出ませんでした。しばらくボーっとしてました。周りは杉林に覆われ…異空間に入ったかのようでした。

初めての漁業体験では、船の苦手な僕には過酷な挑戦になりましたがやり切りました。

そして、魚介類の料理の美味しさにほっぺたが落ちっぱなしでした。

その他薪割りに挑戦したり、お魚を3枚におろしたり、はまぐり堂の見学をしたり…知識ではなく、体感での学びの大切さを実感することができました。土橋さんや関係者の皆さん本当に良い機会を作っていただきありがとうございました。

 

<桃浦現地訪問ツアーを終えて>

今回のツアーを通して、人間が本来持つ五感を取り戻し、人間も自然の中で暮らすいきものの一種なんだと感じる旅になったように思います。

そんな自分たちがこれから暮らしていく地域に対して、どのような視点で見たり、接していくのか、考えるきっかけをいただく2日間でした。

 

・食べ物として命をいただいているんだということ

僕の日常生活の中では食べ物は”買う”ものであり、”捕る”というものではありませんでした。食事の前に「いただきます」は言うものの、どこか意味を考えず言葉にしていたと思います。

今回の漁体験や目の前で魚を締める場を見たことで、命をいただいているということを再認識しました。こどもに対して食育が大切とはよく言われますが、自然の恩恵の中に私たちの暮らしがあるのだということを認識するためにも大人も同じように必要なのだと感じました。

 

・地域には、その地にある自然と住まう人々が共存できる適正な規模感があること

資本主義社会の中では、右肩上がりの成長を目指してしまったり、際限なくモノやお金を得ようと考えがちです。

「浜の暮らしのはまぐり堂」の亀山さんのお店にたくさんお客様に来てもらう運営から完全予約制に切り替えたお話から、地域の人とも良い関係性が築ける規模感や自分たちが届けたいことを届けることができる規模感の適正値があるのだと感じました。

今後、僕自身が茅ヶ崎の未来を考える上で、茅ヶ崎には茅ヶ崎の自然と人が共存できる規模感があり、無理のない地域の未来を模索していく必要があるのだと思いました。

 

今回、当日までの準備から漁や薪割りなどのさまざまな体験、BBQなどご飯を準備してくださった土橋剛伸さん、東京牡鹿会の皆さん、それからご参加の皆さま、ありがとうございました。

 

今後も、ご縁でつながった地域の皆さんに会いに行く現地ツアーを開催していきます。

桃浦については今秋に現地ツアーを開催しようというお話も出ていますので、どうぞお楽しみに!

 

<参考>

「もものうらビレッジ」公式HP

http://www.momonouravillage.com/

 

「もものうらビレッジ」のコンセプトムービー ※土橋さんも登場します

https://youtu.be/FEUnkO_LJ4A

 

「浜の暮らしのはまぐり堂」公式HP

https://www.hamaguridou.com/