【プレイベント】茅ヶ崎を食べられる街に!? 映画「EdibleCity」をみて話す会 開催レポート
(投稿日:2016.12.25)

【開催報告】12/23 茅ヶ崎を食べられる街に!? 映画「EdibleCity」をみて話す会

※今回は参加された小嶋真以さんにレポートしていただきました!

「EdibleCity」とは、アメリカ西海岸のサンフランシスコ・オークランド・バークレーという3都市を舞台に、食・農にまつわる活動をしている人々を追ったドキュメンタリー映画です。

この日は「EdibleCity」を上映するだけでなく、豪華ゲストをお迎えしてのトークセッションや、地元食材を使った料理を食べながらの交流会も行われました。

「EdibleCity」の上映時間は約1時間。
農業が工業化されて石油に頼るようになってしまったという話から始まり、新鮮で安全な食べ物を手に入れられないという「食の砂漠化」がアメリカで起こっている現状が描かれます。
そして、そんな状況をなんとか変えていこうと立ち上がった人々が登場します。街中の土地を畑に変えていく人、放棄地を農場にして野菜を育てる農家、食料を売るだけではなく生産する基盤から見直そうとする食料品店経営者、若者に食の大切さを伝えようとする教師など。彼らが食に対する思いを語るインタビューの場面と、実際に活動している場面で映画は構成されています。
彼らの活動を通して、一人ひとりが食に関心を持つこと、土に触れながら生き物を育てていくことの重要性を訴えかける内容でした。

上映後は同じテーブルのメンバー内で感想のシェア。それから、テーブルごとにまとめた感想を発表しました。
それぞれのテーブルからは、以下の感想が挙げられました。
・生産者の顔が見えることがとても大事だと感じた。
・「経済システムから食を外す」という言葉が印象的だった。
・「食べる」というのは誰もが行うことなので、そこにしっかりと時間をかけて生きていきたいと思った。ひとつの町で自給自足ができるようになったらいいと思う。
・食について、どこで教えるのか?ということを考えさせられた。家庭で教えることはとても多いはず。子どもと一緒に食卓を囲めない自分を反省した。
・映画では「店に行っても新鮮な食べ物が手に入らない」というアメリカの様子が出てくるが、日本とは事情が違うと感じた。ただ、日本では食料自給率の低さという課題があるので、こういった活動は重要だと思う。
・食べ物はどうやって作られているのか、生産の背景を知ることが重要だと思った。

続いては、ゲストのトークです。
アメリカ在住の鈴木栄里さんは「食べることに関しては、1日3回自分でアクションを起こせるチャンスがある」と言います。ご自身がEdibleCityに関わるようになったきっかけから、アメリカ西海岸の歴史的背景、アメリカやロンドンでの最新事例までわかりやすく説明してくださいました。
映画にも登場しているAlemanyFarmのアントニオ・ロマンアルカラさんと佳奈さんご夫妻は、放棄されていた土地で小さく始めた畑が、近所のコミュニティを巻き込んで大きな活動に成長していったことを話してくださいました。「AlemanyFarmと区画貸しの市民農園とは何が違うのか?」という話や、「畑をやっていく上でのゴール(目標)」といった話に、参加者は熱心に聞き入っていました。
Edible SchoolyardJapanの堀口博子さんは「日本ですでにある実践例」ということで、多摩市の小学校での活動について写真や動画で説明してくださいました。子どもたちの生き生きとした様子と、「グラウンドよりも畑の周りに子どもたちが集まってくるようになった」という言葉が印象的でした。
チガラボ代表の清水謙さんからは茅ヶ崎の現状や「ふれあい畑塾」の活動について紹介がありました。

料理が登場すると、それまで真剣だった参加者の表情も一気に綻びました。美味しい料理を片手に、各自がもっと話を聞いてみたいと思うゲストのところへ移動し、分科会が行われました。

私は、堀口さんと同じくEdible SchoolyardJapanで活動されている西村和代さんのテーブルに参加しました。集まったメンバーは環境や食に興味を持っている人が多く、活発な議論が交わされていました。
印象的だったのは、西村さんの「エディブル(edible)という言葉が持っている『わくわく、楽しい、美味しい、みんなで一緒に!』というイメージをそのまま日本に持ち込みたい。だから、日本語で『食育』とはあえて言い直さずにエディブルのまま使う」というお話でした。エディブルという言葉が日本に広く浸透するようになって、「エディブルしよう!」で通じ合えるようになったらいいね、と参加者どうしで話しました。
また、自給自足は自分一人だけでやるのではなく、いろいろな人とつながって、得意なことを少しずつ分け合ったほうがうまくいくのではないかという意見も出ました。
分科会はどこのグループも盛り上がっていて、会話が尽きない様子でした。

分科会の後、この日のまとめとして「これからやってみたいなと思ったこと」をペアになって話し合った後、「やってみたいこと宣言」の場が設けられました。
自給自足のゲストハウスを作りたい、食について学べる場を作りたい、知り合いの土地で畑をやりたい、などの宣言がありました。ゲストの鈴木栄里さんからのアドバイスもあり、参加者はそれぞれの収穫を胸に、充実した表情をしていました。

最後に、鈴木栄里さんから「ConsumerからActivistへ」という話がありました。食べ物をただ消費するだけでなく、食に関する活動を自ら起こしていくことが大事という話でした。
「EdibleCity」は自主上映会も開催できるそうなので、興味を持たれた方はぜひ以下のサイトにアクセスしてみてください。
http://edible-media.com/